2025.08.07 岐阜の岐路 ‐ 若き知事と市長の間で揺れる都市戦略
- 道家やすなり
- 8月7日
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更新日:8月8日
岐阜の岐路 ‐ 若き知事と市長の間で揺れる都市戦略
岐阜県政に新しい風が吹いている。
先ごろ、県知事に就任した江崎氏は、若さと行動力を武器に、さっそく大胆な構想を県議会でぶち上げた。
それが「LRT(次世代型路面電車)」による、羽島市から岐阜市内への新たな公共交通インフラ整備計画である。
構想実現は10年後を見据えているが、県の未来を見据えた野心的なプランだ。
この発表を聞き、歓喜の声を上げたのが羽島市の松井市長だ。「待ってました」と言わんばかりの賛同姿勢。
背景には、江崎知事の就任で、支持を表し行こう関係を築きたい一心なのがてにとるようわかる。
地元発展への期待感がその笑顔ににじむ。
ところが、一方の当事者である岐阜市の柴橋市長の反応は、冷ややかだった。というのも、このLRT計画、全体の施工延長の大半が岐阜市域にかかってくる。
つまり、整備費・協議・影響など、最も重い負担を背負うのは岐阜市ということになる。
柴橋市長は、道路事情や予算の厳しさを理由に、「慎重論」という名の事実上の反対を表明した。
若さと清新さを武器に市長選を勝ち抜いた彼だが、政策形成力や広域的な視点において、県知事との“力量差”が目立つ形となってしまった。
さらに注目すべきは、岐阜市選出の県議たちの動きである。
これまで彼らは、高齢で実績ある古田前知事の前では、沈黙を貫くことが多かった。
しかし、今回は違う。
若くして知事となった江崎氏に対し、「経験年数」や「議会の流儀」を盾に、やや“上から目線”の応対を見せている。だが、それが本質的な議論や岐阜市の未来に結びついているかと問われれば、疑問符がつく。
柴橋市長にとっても、いまは試練の時だ。
信頼関係を失えば、市の成長戦略は空転しかねない。江崎知事との関係修復に向けて、いかにして“市民目線”と“広域調整”を両立させるか。その手腕が問われている。
地方行政とは、一人の知事や市長で完結するものではない。議員、市町村長、そして市民と、ともに舵を取るべき船だ。
若き首長同士の意地の張り合いで終わらせるのではなく、真に未来を見据えた対話と妥協が求められている。
岐阜の未来は、いま岐路に立っている。

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