2025.09.22 「人手不足」
- 道家やすなり
- 9月22日
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「人手不足」という言葉が、近年やたらと踊っている。
だが、その実態は「不足」ではなく「不満足」なのではないか。本当に足りないのは、働き手そのものではなく、「安い賃金でも我慢して働く人材」なのだ。
それでも政府は「人手不足」を錦の御旗に掲げ、外国人労働者の受け入れを次々と拡大してきた。在留資格は広がり、永住にまでつながる制度設計まで整いつつある。しかし「果たして不足は真実か」という根本的問いは置き去りにされている。
「足りない」の正体
外国人労働者の平均賃金は月232.600円。日本人の平均賃金318.300円との差は約85700円、率に2〜3割安い。まさに「安物買いの銭失い」の構図である。数字が雄弁に物語るのは、「人手不足」というより「安価な労働力不足」である。
見過ごせぬリスク
受け入れ拡大の影で、技能実習生の失踪者は年間6000人、不法残留者は2025年1月時点で84000人に達している。
制度に同行する管理不能のリスクは、移民政策に通ずる社会問題に発展していることに目をそらしてはならない。
国内資源を眠らせるな
「隣の芝生は青い」とばかりに外国人労働力に頼る前に、日本国内に眠る潜在力に光を当てるべきだ。例えば税制改革。扶養控除を前提にした現行制度では、主婦や高齢者は「働き過ぎれば損」という逆転現象に縛られている。これを世帯単位で課税する「世帯課税」に切り替えれば、働き控えの呪縛は解ける。ヨーロッパでは既に実例があり、女性や高齢者がより自由に労働市場に参入している。
「近きを見ずして遠きを論ず」という言葉がある。
目の前にある潜在労働力を眠らせたまま、海の向こうから人材を呼び寄せるのは愚策である。まずは国内の仕組みを改革し、眠れる力を引き出すことが肝要だ。外国人に頼るのはその後でよいのではないか。
「人手不足」とは、実のところ“安い労働力不足”である。官製による労働単価引き上げで、国民を騙す政府。この虚像に踊らされることなく、足元の改革をこそ進めるべきだろう。

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