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2025.10.01 小さな苗から広がった “国の損失” - シャインマスカット流出と農水省への苦言 -

  • 執筆者の写真: 道家やすなり
    道家やすなり
  • 10月1日
  • 読了時間: 2分

小さな苗から広がった “国の損失” -シャインマスカット流出と農水省への苦言-


 「覆水盆に返らず」という。

日本が育てた宝石のような果実「シャインマスカット」は、今や隣国の畑でたわわに実り、世界市場を席巻している。かつては “日本だけの特産” だったはずが、振り返ればその種苗は中国や韓国に流出し、数百億円規模の損失に化けてしまった。


 原因は明白だ。2006年に国内で品種登録を済ませながら、海外登録を怠った制度の隙。費用の負担を理由に「各自判断」に委ねられた結果、海外業者が先んじて登録し、日本の宝を“自国ブランド”に仕立て上げたのである。まさに「早い者勝ち」の世界で、日本は後手に回った。


 だが、見逃せぬのは農水省の姿勢である。近年の施策においても、地元農家の声をくみ取らぬまま、机上で制度を設計し、現場を置き去りにする事例が後を絶たない。苗木流出の教訓を前にしてもなお、地域の実態を無視した対応を繰り返すのは、「二度あることは三度ある」と言わざるを得ない。


 苗木の流出は密輸だけでなく、農家が高値に目を奪われて苗を手放したことも一因である。現場を熟知する農家と向き合い、実効性ある制度を築いていれば、防げた部分も多かったはずだ。中央の役所が現場を見ず、地元の声に耳を傾けなかった結果、国益を損ねる“棚ぼた”を他国に譲ることになったのである。


 後に慌てて種苗法を改正し、海外持ち出しを禁じたが、それは「後の祭り」。失敗を繰り返さぬためには、農水省こそ猛省し、地域の声を起点に政策を形づくる覚悟が求められる。


 農の叡智を守ることは、国益を守ることにほかならない。霞が関の論理よりも、地元の土の声に学ぶときだ。もう二度と「失敗は成功の母」などと安易に言い訳できぬよう、農水省には重い責任が課せられている。


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