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2025.10.04 “非致死の盾”を-テーザー銃、現場の安全をどう守るか

  • 執筆者の写真: 道家やすなり
    道家やすなり
  • 10月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月5日

「“非致死の盾”を-テーザー銃、現場の安全をどう守るか」


 今、社会の現場が静かに変わりつつある。警察官や現金輸送員・警備従事者たちは、かつてない緊張の中に立たされている。増えるのは、凶器を伴う犯罪、そして外国人を含む複数人による組織的な事件だ。


 警察庁の統計によれば、令和5年(2023年)の来日外国人による刑法犯検挙件数は前年を上回り、共犯事件の割合は38.7%-日本人事件の約3倍に達した。特に万引きや窃盗といった財産犯で組織化の傾向が目立つ。全国の警察現場では、暴力・薬物を伴うトラブルも急増しており、「制圧は必要だが命を奪いたくはない」という葛藤が広がる。


 実弾か、素手か。その二者択一を迫られるのが、今の日本の現場だ。だが海外ではすでに、その選択を埋める手段が実用化されて久しい。テーザー銃-相手の動きを一時的に制止し、命を奪わずに制圧する「非致死性の盾」である。


■世界での実績、そして訓練体系

 英国では既に全ての訓練警察官に配備が進み、初期24時間+年6時間の訓練が義務づけられている。米国では警察機関の約9割が装備し、NIJ(米国司法省研究所)の調査では被疑者の負傷率を70%低減、警官側の負傷も平均30〜60%減少した。

 フランスでは国家警察・憲兵あわせて2万丁以上が配備され、36時間の訓練と3年ごと再認定制度を設けている。オーストラリアでは多回作動を禁じ、医療対応を義務化-人権と安全性を両立させている。どの国も共通しているのは、「命を奪わずに治安を守る」という理念である。


■国内の法制度と現実のギャップ

 一方、日本では「テーザー銃」は銃刀法上の “銃器” 扱いとみなされ、原則警察官でも所持・使用は認められていない。拳銃は持てるが、非致死性電撃銃は持てない-この矛盾が、現場の選択肢を狭めている。

 実際、警察官が暴漢を制圧しきれず刺される事件は、2024年だけで全国に複数報告されている。現金輸送車や警備現場でも、刃物やスタンガンを用いた襲撃が増加傾向にある。

民間の防犯分野でも、現金輸送や貴金属取扱業者、夜間警備員などが日々「命を懸けた抑止」に晒されている。非殺傷の装備を法的に導入できない現状は、国際標準と比べて遅れが目立つ。


■必要なのは「限定的・厳格な運用」

 もちろん乱用を許してはならない。テーザー銃は“魔法の杖”ではない。だからこそ導入には限定性と透明性が必要だ。


たとえば-

- 公務執行(警察官)及び公安委員会指定の民間警備に限定

- 使用記録の自動保存とボディカメラ連動を義務化

- 使用基準・医療対応・第三者監査を制度化


こうした枠を設ければ、乱用の芽は抑えられる。イギリスの例がそれを示す。発射回数・対象・状況をすべて記録・公開し、市民監視を受けながらも信頼を得ている。


■「人を守る道具」を冷静に議論すべき時

 警察官の拳銃は「最後の選択肢」であるべきだ。しかしその手前に “抑止の緩衝地帯” を設けることは、人命を守る現実的な一歩だ。法改正を伴う議論は避けて通れないが、「非致死の武装」は世界ではすでに倫理的標準になっている。現場を知る者ほど、実弾の重さを知っている。

 テーザー銃の導入議論は、暴力の容認ではなく、暴力の抑止のためにある。社会が複雑化し、犯罪の形が変わる今こそ-「命を奪わず、守るための力」を真剣に考えるべき時期に来ている。

(道家やすなり社会福祉安全保障研究会)


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