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2026.03.17 「7000余万円という“引き金” 岐阜市・新大学構想と少子化時代の財政リスク」

  • 3月17日
  • 読了時間: 3分

「7000余万円という“引き金” 岐阜市・新大学構想と少子化時代の財政リスク」

岐阜市議会の今議会で、新大学構想のための予算として7000余万円が計上された。市の年間予算規模からすれば決して巨大な額ではない。だが、この数字を「わずかな調査費」と軽く見るべきではない。なぜなら、この約7000万円は“大学建設に向けた最初の引き金”だからである。


大学というものは、一度走り出すと途中で止めることが難しい事業だ。将来のこの国を支える子どもたちの人生を左右する重要な人生インフラである。構想、基本計画、設置認可、建設、運営―と段階を踏んでいくが、最初の調査費が計上されると、行政は「後戻りできない流れ」に入りやすい。議員の仕事は調査費から、というのはここから来るものだ。しかも、この計画が進む時代背景は決して楽観できるものではない。


少子化という現実

日本の18歳人口は、1992年の205万人から2023年には112万人まで半減した。さらに2035年には約90万人になると推計されている。つまり、大学の潜在的な学生数は、わずか40年で半分以下になる計算だ。文部科学省の統計では、すでに全国の大学の約4割が定員割れとされ、地方大学ほどこの影響は深刻だ。大学をつくるということは、少子化の“逆風”の中で、学生確保競争に参加することを意味する。


岐阜の構造的問題

岐阜県は「学生流出県」である。高校卒業後の進学先の多くは県外、特に名古屋圏の大学だ。確かに市の説明ではこの流出を食い止めるために大学が必要だという論理がある。しかし裏を返せば、岐阜市の新大学は名古屋圏の大学と直接競争することになる。人口減少の時代に、都市規模もブランド力も上回る大学群と競い合う。これは決して簡単な話ではない。


さらに重いのは「運営費」大学は建設費だけでは終わらない。教員人件費、施設維持費、研究費、学生支援。多くの公立大学では、年間数十億円規模の運営費が自治体から支出されている。もし学生が定員通り集まらなければ、その不足分は誰が負担するのか。


答えは簡単だ。

相談先は市民の税金である。財政のシワ寄せはどこへ行くのか自治体財政は有限だ。大学運営に資金を回せば、別の分野の予算が削られる可能性がある。つまり、大学事業が拡大すればするほど、将来の市民サービス低下の圧力になる可能性もある。だからこそ、今回の約7000万円は単なる調査費ではない。それは、将来の財政構造を変えるかもしれない「引き金」でもある。


本当に必要な議論

大学は都市の魅力的な知的基盤であり、地域に活力を生む可能性もある。しかし、少子化時代の大学経営は、もはや「作れば成功する」時代ではない。今必要なのは、夢だけではなく冷静な問いだ。今回の約7000万円という数字は小さい。だが、その先に続く可能性のある財政負担は小さくない。この一歩が、岐阜市の未来にとって希望の扉になるのか。それとも、市民サービス低下への引き金になるのか。先のゴミ有料化、突然の前倒しとともに今回の市議会への唐突な上程。与党と自称する議員らは、議会軽視という言葉を見失ってしまったのだろうか。



 
 
 

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